大学卒業後にサラリーマン生活を送った会社は全国的にその名が知られた会社だったのですが、特に九州での知名度が抜群に高い会社でした。
「梅ちゃん。梅ちゃんの名刺ば中洲で見せたら、一見さんでもツケで呑ませて貰えるったい!」
上司からこんなびっくりするような事を言われ、半信半疑ならがらもこの名刺にそんな効力があるんだ・・・と驚くと共に責任を持って配らねばと思ったものです。実際に「名刺でツケ」を試す機会に恵まれないまま退職してしまい、少々残念に思っています。
家業を継ぎ、全国津々浦々様々な町のお客さんと話をする機会がありますが、九州のお客さんと話をする際は必ずサラリーマン時代の話を話題にします。
「実は僕、○○で3年半、サラリーマンをしていたんですよ!」
東京採用、東京勤務だったので、実際に九州で暮らす事は無かったのですが、それでも「へぇ~○○で!」と一気に話に花が咲きます。僕が仕事をしていた会社は、特に九州での暮らしにおいては色々なシーンで目にし、実際にお世話になる機会も必然的に多くなるような会社なのです。
勿論、弊社の商品サンプルを実際に見て頂きながら話をし、その仕事振りに十二分に納得頂いた上で仕事の依頼を受けることとなりますが、○○で仕事をしていた、と言うことも社員2人だけの小ぢんまりとした会社である弊社のことを信用して頂き、信頼して頂くためのエッセンスに少なからずなっているだろうと思います。
状況は異なりますが、今更ながら「名刺でツケ」はきっと本当に出来るなと感じます。
○○と言う会社名のネームバリューとその信頼の度合いの凄さに改めて驚かされもします。
「名刺でツケ」の助言をしてくれた上司は残念ながら数年前に急逝してしまったのですが、きっとあの世から「嘘じゃなかろう!」と誇らしげにニンマリと笑っているに違いありません。