先日、下町にある取引先界隈を歩いていると大きなタワークレーンが稼働している建設工事現場に差し掛かりました。大手不動産会社が手掛ける12階建てのマンションが建つようなのですが、お寺や下町ならではの低層の建物が立ち並ぶ静かな一画には「建設反対!」の幟が数多く風に揺れていました。
すると時々見掛ける「建設反対運動」とは少々異なる看板が目に入りました。
その看板には不動産会社、建設会社、マンション購入者それぞれに向けた建設反対のメッセージが書かれていたのですが、なかでも思わず「へぇ~」と思ってしまったのが、
「この辺りは昔、沼地でした。今でも地盤は軟弱です。30mの深さまで杭を埋めても安定した土壌には届きません。それでも本当に安全なマンションだと言えますか?」
と、言った文言。そしてあなた方は本当にマンションを建てるのですか?本当にマンションを買うのですか?と言った文章も続きます。
そう言われると、ドキっとして、少し心配にもなりますよね。
確かに昔は東京のかなり奥まった場所まで東京湾の入江が入り込んでいたことを聞いた事があります。下町の地盤は柔らかいので高層建築を建てるには向かない、と言う話も聞いた事はあります。
臨海部の埋立地も含め、ニョキニョキと超高層マンションが建てられて行く東京東部。
どのくらいの深さまで杭を埋め込んでいるのかは知りませんが、「もしものときに本当に倒壊しない?大丈夫?安全??」と言う目でそれらのマンションを見た事はありませんでした。
12階建てのマンションが万が一倒れ掛かってきたらたまったものじゃありませんが、そう言った事が起こらないように計算した上で建設は進められているものと偶々通り掛かった者と言えども信じたいものです。
タワークレーンまで入ってしまっている建設工事現場で、建設が今更中止されるとも思えないのですが、義理人情の厚い下町ならでは妥協案が見つかると良いものです。隣同士が歪み合うのは何とも下町らしくありません。